あなたがどのような企業、役割を担っていたとしても、新たな発見や、確信的なアイディアを生み出すことは必要なはずです。誰しもが必要としている「イノベーション」ですが、実際に起こそうとすると非常にむずかしいものです。今回はイノベーションが得意な企業を10のタイプに分け、それぞれがどのように実現したのかを解説していきます。
今回の記事はこちらの記事を参考に加筆修正を行っております。
⏩https://www.visualcapitalist.com/10-types-of-innovation-the-art-of-discovering-a-breakthrough-product/
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ベンチャーキャピタルのピーター・ティールは、「競争は敗者のためにある」と言いました。
すべての企業が市場でシェア争いをするのは必然ですが、競争が激しすぎて、その過程で潜在的なUPSIDEが失われてしまうような状況は、経済学でいうところの「完全競争」というような状況は避けたいところです。
完全競争を避けるためには、持続的な競争優位をもたらす経済的な堀を構築することが必要です。経済的な堀はさまざまな要因で形成されますが、今日の経済においては、イノベーションの力によって形成されることがほとんどです。
では、イノベーションはどこから生まれるのでしょうか。また、常に大きなブレークスルーを実現するための普遍的なフレームワークは存在するのでしょうか?
10タイプのイノベーション
今回のインフォグラフィック(上で添付しているような解説画像)では、Deloitteが所有するイノベーションに特化した企業、Doblinの長年にわたる綿密な調査の結果を紹介します。
Doblinは、その創立からの歴史の中で2,000件以上のビジネスイノベーションを調査した結果、ほとんどのブレークスルーは、必ずしも工学的な発明や希少な発見に由来するものではないことを発見しました。
その代わり、イノベーションは10の異なる次元に分類することができ、誰もがこの戦略的フレームワークを使って、競合他社の分析、製品の弱点のストレステスト、自社製品の新たな機会の発見などを行うことができるのです。
下記が10種のイノベーションです。
# | Innovation Type | Description |
1. | Profit Model | How you make money(どのようにマネタイズするのか) |
2. | Network | Connections with others to create value(製品を組み合わせることで新たな価値を生み出す) |
3. | Structure | Alignment of your talent and assets (才能と資産のバランスをる) |
4. | Process | Signature of superior methods for doing your work (優れた洞察を取り入れる) |
5. | Product Performance | Distinguishing features and functionality (特徴と機能の差別化を行う) |
6. | Product System | Complementary products and services (プロダクトエコシステムを形成する) |
7. | Service | Support and enhancements that surround your offerings(サービスとサポートを拡充する) |
8. | Channel | How your offerings are delivered to customers and users (お客様やユーザーへの提供方法で差をつける) |
9. | Brand | Representation of your offerings and business ( 企業メッセージにより、叫喚を呼ぶ) |
10. | Customer Engagement | Distinctive interactions you foster(カスタマーとの接点を強化する) |
セオリーから実践へ
ビジネスを実践する中での、イノベーションとはどのようなものなのでしょうか?
ここでは、有名企業が10種類のイノベーションをどのように活用してきたのか、また、現代の企業が新製品のブレークスルーを継続的に実現するための戦術をご紹介します。
イノベーションタイプ #1-4::”Configuration(構造)”
Doblinによると、最初の4つのタイプのイノベーションは、会社の構成や「舞台裏」で行われるすべての作業を中心としています。
このカテゴリーのイノベーションは、以下の例に見られるように、直接お客様に接するものではありませんが、それでもカスタマーエクスペリエンスに重要な影響を与える可能性があります。会社や製品がどのように組織化されているかは、他のカテゴリーのイノベーションを可能にするような、重要な下流への効果をもたらす可能性があります。

ここで最も興味深い例は、GoogleとMcDonald’sの2つです。どちらの企業も社内でイノベーションを起こし、それが社員の力となり、さらに下流で重要な進化を遂げています。
McDonald’sの場合、フランチャイジーの洞察力がエッグマックマフィンの導入につながり、現在では売上の25%を占める朝食の提供全体をリードする存在となりました。朝食は現在、同社で最も収益性の高いセグメントとなっています。
画像に掲載されている例は以下のとおりです。
ニューヨーク・タイムズ紙は、従来の広告を中心としたメディアモデルから、デジタルなユーザーサブスクリプションに移行しました。
ヘンリー・フォードは、後に垂直統合と呼ばれるサプライチェーン全体の管理を行った最初の産業界の一人です。
グーグルでは、社員がサイドプロジェクトに取り組むことを認める「20%ルール」を採用したことでGmailやGoogle Newsの誕生につながりました。
イノベーションタイプ #5-6: “オファー(Offering)”
イノベーションというと、多くの人が思い浮かべるのは「提供」のカテゴリーではないでしょうか。
製品の性能を向上させることは、当たり前のようでいて難しいイノベーションであり、技術革新に対する企業文化が根付いていなければ、一時的な競争優位性を生み出すだけに終わってしまう。
Doblinが、複数のイノベーションを組み合わせることで、より安定した経済的な堀を築くことを推奨しているのは、このような理由からです。

Product Performance
Spotifyは、スピード、レスポンス、ユーザーエクスペリエンスの面で競合他社を凌ぐ、シームレスな音楽ストリーミング製品を生み出しました。
Product System
イノベーションに定評のあるアップルですが、その戦略の中でも特に評価されていないのが、上記のプロダクトエコシステムです。製品のエコシステムを考え、完璧に連携させることで、さらなる利便性を生み出し、お客様がアップル製品から離れにくくすることを実現させています。
イノベーションタイプ #7-10: “ユーザーエクスペリエンス(Experience)”
これらのタイプのイノベーションは、最もお客様に近いものですが、その分、解釈の幅も大きいものです。
他のイノベーションは川上で行われることが多いのですが、ユーザーエクスペリエンスに関するのイノベーションはすべてお客様の手で試されます。そのため、これらのアイデアを展開するには細心の注意が必要です。

Service
インターネットの黎明期には、オンラインでの配送は不安定なものでしたが、アマゾンが導入した「Amazonプライム」と、すべての会員を対象とした無料の簡易配送サービスは、Eコマースに大きな変化をもたらしました。
このような約束を実行するのは簡単なことではありませんでしたが、現在、プライムのユーザーは世界中で1億5,000万人に上り、中には最短2時間で商品を受け取ることができる都市部のユーザーもいます。
Channel
ネスプレッソは、ネスプレッソクラブや、使い捨てのコーヒーポッドを継続的に販売することで、お客様を確保しています。
Brand
パタゴニアのブランド活動と環境保護活動への貢献は、アウトドア・アパレル市場において独自の地位を築くために有効に作用しています。
Customer Engagement
メルセデスベンツは、拡張現実(AR)を利用した取扱説明書を発売しました。この取扱説明書は、従来のかさばる取扱説明書に代わるもので、ドライバーや車のデータを表示することができます。
組織にイノベーションを起こす
組織は、10種類のイノベーションに対して、より戦術的な観点からどのようにアプローチすればよいのでしょうか。
一つの有用なリソースとして、前述のフレームワークに対応する100以上の戦術を無料で公開しているドブリンのリストを活用することです。(これは宣伝の意味もあるでしょうが、、)
この1ページのPDFには、それぞれのイノベーションのタイプをいかにさまざまな事業者に提供するための実例が述べられています。要するに、これらは自社の製品やサービスを差別化しようとするときに必要とされるさまざまな方法が記載されており、少なくともマネージャーやマーケターにとっては有益な思考実験となるはずです。

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一口にイノベーションといっても、さまざまな切り口でのアプローチがあるということが自分としても改めて勉強になりました。
ここで掲載している企業、ブランドと全く同じ状況にあるケースは少ないかと思います。しかし、どのような背景、仕組み、アプローチでイノベーションを実現したのか、というイノベーションまでの道筋の部分に目を向けることができれば、それぞれのエッセンスを自分の事業にも取り入れることができるのかな、と思います。
最近は色々海外の記事を見ていて、すごく面白いものが多いですが、なかなか作業時間が取れず、記事にできていない状況です、、、一日少しずつでも時間をとって執筆していかなくては、、、
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