「後払い」の次に来るのは「購入前のお試し」か?

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今回の記事はサンフランシスコを拠点にしているVCであるForerunner VenturesのJASON BORNSTEIN氏が執筆した「Is “Try Before You Buy” the Next “Buy Now Pay Later”?」の翻訳記事となります。

昨今、後払いである「Buy now Pay later」制度は多くの決済プラットフォームにおいてもスタンダードな存在となりましたが、この記事でForerunnerが指摘するのは、BNPLからもう1歩進んだ存在として、Try Before You Buy=TBYBの出現です。特にデジタルコマースにおいては、実店舗では可能だった試着(=購入前に試す)ことに限界があります。それらの障壁を取り除く存在として、TBYBが持つポテンシャルや今後の可能性、TBYBを活用する注目企業をご紹介します。

オリジナル記事はこちらから⏬
https://www.forerunnerventures.com/our-perspectives/is-try-before-you-buy-the-next-buy-now-pay-later


8月に、SquareがAfterpayを290億ドルで買収したことで、「Buy Now, Pay Later」(BNPL)にスポットライトが当たっています。Forerunnerでは、消費者の期待の変化を常に観察し、あるサービスが「便利なもの」から「必要なもの」へと変化する兆しを見極めています。ブランドにとって、BNPL はもはや「必要なもの」になっているのです。

クレジットシステムは長い間、私たちの経済を支えてきましたが、後払いができるようになったことで、大小の商品に対する消費者の購買行動が大きく変わりました。BNPLサービスを利用したことがある消費者は56%で、1年前の38%から増加しています。
この変化の大きさは、Affirm、Afterpay、Klarnaという150億ドル超の企業が世界に出現したことを裏付けるに十分であり、Chase、American Express、Citiといった従来の金融機関がクレジットカードによる購入にBNPL機能を提供することにも拍車をかけています。また、AppleはAffirmと提携し、カナダでこのサービスを提供する一方、独自のシステムを開発中と報じられています。

BNPLの文化的影響力から、Forerunnerは消費者の購買行動に大きな変化をもたらすであろう次のチェックアウトの提供について考えています。電子商取引は現代のショッピング体験を定義し、加速させましたが、店舗には、顧客が「買う前に試す」ことができるという明確な利点があります。多くの人が、今日もこの体験を大切にしています。2020年の消費者のオンライン消費額は前年より9000億ドル増加し、そのうちの一部はデジタル消費にとどまると予測されていますが、それでもなお、対面販売の消費額は小売における支出の80%を占めています。

Forerunnerの初期の投資の1つは、「買う前に試す」オプションがいかにショッピング体験を向上させるかを物語っていいます。その最たる例はWarby Parkerでしょう。デジタル眼鏡とコンタクトのパイオニアであるWarby Parkerは、1つのカスタム眼鏡を作る前に複数のフレームを試したいという消費者の要望に対する解決策を見つける必要がありました。同社は、店舗をオープンする前、あるいはテクノロジーが魅力的なデジタル試着体験を提供する前に、消費者が購入前に5つのフレームを試せる「自宅試着」プログラムを開始し、コンバージョンファネルにおける大きな摩擦を取り除きました。このプログラムはWarby Parkerというブランドが有名になるきっかけとなり、DTC領域において大成功を収めました。

このような規模のプログラムを立ち上げ、運営するには、人的、技術的、在庫的なリソースが必要で、今日のダイナミックな市場において新興ブランドが単独で管理するのは困難です。しかし、Warbyが始めた「買う前に試す」プログラム(TBYB)を製品化し、より多くの企業で実現できるとしたらどうでしょうか?ジーンズや水着を店頭で試着することをデジタル化したと考えてみてください。試着室や試着体験が自宅内でできるようになれば、画期的なことです。BNPLの利便性と同様に、TBYBは、コンバージョン率を高め、返品率を下げ、他の方法では販売されなかったかもしれない有責在庫のためのチャネルを作ることによって、eコマースの単位経済を根本的に変えることができます。

現在、TBYBへのアプローチとして、Forerunnerが注目しているものがいくつかあります。Try NowとBlack Cartはブランドに対してプログラムを実行するためのソフトウェアを提供し、Nokはソフトウェア、フルフィルメント、ロジスティックスを含むフルサービスの垂直統合を提供しています。BNPLと同様、この市場は勝者総取りの市場ではないと考えます。カテゴリーや地域を問わず、オンライン消費者体験を向上させる、さまざまなアプローチのサービスが提供されるでしょう。


今回の記事は以上となります。

やはり私も1消費者として、オンラインショッピングは使用していますが、日用品や既に実物を見ているものの重量などの理由でオンラインで買っている、など、何らからの理由で購入前に実物を知っているケースでオンラインショッピングを使うことが多く、ファッションなど同じ製品でもサイズ感や素材感が画面上からはわからない製品は使わない傾向が多いです。
また、オンラインで服を買う場合も返品可能な場合に限り買ったり、いくつかのサイズを買ってみて気に入らないものを返品するというようなことをしていました。(ブランドの方や物流業者の方、すみません。。。)ですが、実際これは私に限った話では無いと思います。

試着専用の店舗を作り、オムニチャネルで販売をすることや、ZOZOスーツのようにオンライン内で顧客の不安を取り除く、など色々なアプローチがあると思いますが、TBYBはその中でも非常に効果的なアプローチだと感じました。他の記事で解説したいと思いますが、顧客がサービスで最も重視しているのが、配送スピードや返品・交換ポリシーなどのロジスティクス関連分野であるというデータがありますので、この取り組みを実現することができれば顧客の痒い所に手が届くサービスになることができるのでは無いかと思います。

ただ、TBYBプラットフォームの企業を採用するとすると、そのノウハウ・人的リソース・在庫…どこまでを自社で管理し、どこまでを任せるのか、という点は試行錯誤が必要になると思いますし、その塩梅によっては強みが活かせない、という可能性も出てくるのかな、と感じました。

こんなところで本日の記事は終わりにしたいと思います。
それではまた明日!

Source:https://www.forerunnerventures.com/our-perspectives/is-try-before-you-buy-the-next-buy-now-pay-later

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